
M&Aランキング分析(その2)
2007/10/09
先日、2007年1月〜9月のM&Aランキング(金額ベース)が米トムソンフィナンシャルから発表された。
日本のマーケットで外資系、国内系の競争が一段と激化してきている中で上位に国内系がほとんどランクした。特に、野村證券が国内外で大型案件に絡んで、1月〜6月に引き続き、1位を確保しているのが特筆される。ANAホテル、松坂屋ホールディング、三井物産関連の海外案件等々で顕著なものが見られる。
日興シティグループ証券が前年同期に1位であったのに引き続き強みを見せており、また、みずほ証券、三菱UFJ証券、大和証券SMBC等々の国内証券が軒並み上位を占めているのが特徴である。
ゴールドマン・サックス、モルガンスタンレーといった例年の常連が今後年末までに大型案件で大きく盛り返すかが興味深いところである。

不動産市況の不透明感
2007/10/05
不動産会社、REITのPBR1倍割れが増加してきているとのことです。
これは、日銀の9月の企業短観での大企業・不動産企業の業況判断DIが3ポイント悪化の50と2004年12月調査以来の悪化を示したことも大きく関連している。
もちろん、先行き不透明感が広がっている最大の要因は米国でのサブプライムローン問題である。
外国人投資家が自国マーケットの足元が先行き不安があるのに日本への投資を継続するのかという懸念にもよる。
日本の不動産市場はグローバル化、金融商品化が進んでおり影響は小さくない。
ただ、PBRの1倍割れで割安感も強まっているので、「企業価値を考えるとマーケットは悲観的すぎる」との指摘の声もある。
この後の行方が注目される重要な局面に来ているといえましょう。

M&Aランキング分析
2007/10/03
今年前半(2007年1月〜6月)のM&Aアドバイザリーランキングの1位は金額、案件数ともに野村證券であった。順当なところであろうと思える。案件数としては、シティグループ(日興シティ、日興コーディアル証券)、大和証券SMBCと続いている。その後にみずほフィナンシャルグループ、三菱UFJフィナンシャルグループ、モルガンスタンレー証券となっている。
それらを分析してみて特徴的なのは、シティグループは金額的にも3位であるが、大和証券SMBCは金額的には10位であるので、案件あたりの金額の差が伺える。モルガンスタンレー証券は1件当たりの金額の多さが目立っている。
金額的な順位としては、GCAが2位になっているのが際立った特徴と言えるが、むしろこの事実は日本のM&Aマーケットで独立系のブティックハウスがこれだけの実績を残すということが、企業買収が日本企業の重要な経営戦略となってきていることを現していると言えるのではないでしょうか。

国際会計基準
2007/09/30
先だって、日本は国際会計基準理事会(IASB)と会計基準を2011年を目途に共通化することで合意しました。
資本市場がグローバル化する中で投資家が財務諸表を比較し、様々な判断ができるようにするのには会計基準がひとつであるべきだという方向に大きく進展したということは喜ばしい。
日本の会計基準も2000年代以降、「税効果会計」や「退職給付会計」の導入などを進めてきていたが今後は「在外子会社の会計方針の統一」とか「企業買収などで生じたのれん代の定期償却廃止」等についても共通化の方向に進んでいくと思える。
米国でも国際会計基準での財務諸表を認めるかの議論が始まっている。
日本が米国にさきがけたということであるが早晩、米国もIASBと合意するとなれば基準共通化はグローバルな資本市場を一層魅力あるものにしていくと期待できる。

証券優遇税制について
2007/09/27
株式譲渡益と配当課税への優遇措置は本来の税率は20%だが2003年の株価テコ入れ政策として、その税率の半分の10%に軽減して現在まで延長されてきている経緯がある。
目先の適用期限が2008年度末までに迫ってきており、その延長問題の行方が注目され始めて来ている。
自民党内には株価とそれによる経済への影響を懸念して優遇税制延長を求める声が強くあるが、現下の参議院での与野党勢力の逆転で方向性に不透明感が増してきている。
かつて、1989年に40000円近くまで行った日経平均株価を顧りみ、現在のその半分まででもない平均株価を考えれば、まだまだ証券優遇税制の株式市場、ひいては経済活動全般への影響の重さから引き続き延長となることを期待するものです。

IPOの現状(今年度上半期)
2007/09/23
今年度上半期のIPO(新規株式公開)のデータを見ると社数が50社と前年同期の83社に比して4割減で、上場後初値が公募価格を下回った会社が3割で、現在値では6割を超す銘柄が公募価格を下回っている状況である。
ジャスダック、東証マザーズ、大証ヘラクレスといった新興市場が年初来安値を伺う展開となっていることもあり、また、世界的な信用収縮の余波もあり、ある面では仕方ないかなと思うが、問題は市場環境だけではないとも言えそうである。
すなわち、公募価格を決める際の企業側、株主側等の利害関係も絡んでの価格設定の「無理」な側面もあるのではと思える。私も山一證券時代に、IPOの公募価格設定で関係者間での苦労を経験した者としては理解はできるが、主幹事証券の力量が問われる大きな部分であるので投資家の立場も慎重に考慮したものを期待する次第です。
そんなIPO市場で注目されているのが、10月11日に予定される、ソニーフィナンシャルホールディングの上場です。公開規模は3000億円超となり今年最大規模でもありますので、投資家心理の改善につながるような結果になることを切に期待する次第です。
今期、弊社でお世話した公認会計士の方たち数名も現在、大手証券会社でのIPOの現場でご活躍されていることもありますのでIPO相場の改善を心より願う次第であります。

不動産ファンドに転機か?
2007/09/22
大都市部の地価上昇を牽引してきた不動産ファンドの「変調」が目立ってきている。
サブプライムローン問題に伴う信用収縮の余波がジワリと影響してきて銀行の融資姿勢が厳しくなってきており、大手銀行が融資をせず、開発が流れる事例が相次いでいるとのことだ。
金融庁が不動産融資の審査を厳格化していることも銀行の融資姿勢を慎重にしているとのこと。
今後、影響が広がりそうなのが不動産開発で多用されているノンリコースローンだ。
その証券化商品のCMBSへの投資も投資家が慎重になってきており、スプレッドが、じわりと拡大してきているのも懸念されるところだ。
外国人が主要投資家になっているREITも時価総額がピーク比3割減ってきている。
外国人投資家はサブプライムローン問題での信用収縮で、本国で損失を被り慌てて日本のREITを換金売りしているとも推測されている。
ただ、外資の一部では「他のファンドが資金調達で苦戦するのはむしろ好都合」と強気で資金に余裕のある外資ファンドもあり、これをチャンスと捉えてもいる。
国際的なマネーの変調を受け、ファンドの選別が始まりかけている気配が強まっており、不動産ファンド業界は今、転機を迎えてきているのではと感じています。

企業の社債発行急増(その2)
2007/09/20
前回もお話しましたが、企業の社債発行による資金調達が2007年4月〜9月で前年同期に比較して56%増加し9年ぶりに半期5兆円超になる見通しとのことです。
サブプライムローン問題を背景に長期金利急低下が起因している模様です。
一方でエクィティファイナンスは4月〜9月は8000億円程度で前年同期比で59%ほど減る見通しです。これは株式増加による被買収リスクを避けたいという企業の経営側の判断も内在した結果でもあるかもしれません。
いずれにしても、最近の株式市場の混乱で投資家の株式購入意欲の冷え込みと、一方での長期の低コストによる資金調達の機会と機動的に捉えてのファイナンス行動が企業側に顕著に見られているということだと思います。

サブプライムローン問題(その4)
2007/09/17
英国での住宅融資を柱とした中堅銀行ノーザン・ロックのBOEによる緊急救済融資とか米国金融機関の業績減速警戒感等、金融市場の心理が一段と悪化しそうな気配が強まっている。
ここでこれからの事態を考えてみたい。
サブプライムローンにはARMが多いと言われしかもこの秋から住宅ローンは借り換えの季節を迎える。つまり、最も根底のところで破綻は続くということだ。すでにCDOやRMBSの市場は冷え込んでいるから住宅市場そのものもますます冷え込んでいくことになる。信用収縮は続くからファンドの活動は後退する。
米国の住宅バブルが崩壊したときのシュミレーションはいくつか発表されているが日本総合研究所の李氏によれば、住宅価格が30パーセント下落したとすると個人消費はマイナス3.0パーセント、GDP成長率はマイナス2.2パーセントという事態に陥るという。
日本への影響は米国への輸出減少と中国を介しての輸出減少のダブルパンチでやってくることになる。このシュミレーションは野村證券金融経済研究所の木内氏が行っていて米国のGDP成長率が1.0パーセント下がるごとに日本にはマイナス0.83パーセントの影響があるという。李氏と木内氏のシュミレーションを組み合わせればGDPマイナス1.8パーセント強ということになる。
このくらいですめば、まだ幸運というべきかもしれない。
それほど、この問題の先行きには大きな懸念を持たざるを得ないと言える。

金融商品取引法施行へ
2007/09/14
金融商品取引法が9月末に完全施行される。
証券取引法、投資信託法、金融先物取引法など縦割りの法律を統合したものである。
利用者保護のため、元本割れのリスクを伴う金融商品に広告の表示規制等を義務付けたり、投資ファンドの一部も対象に含め、また、全上場企業への四半期決算毎の開示を義務付け、内部統制ルール等も導入するというような内容になっている。
銀行、証券会社等の販売体制の見直し等、各金融機関は法施行に間に合わせるよう準備に忙殺され、一方、上場企業や金融庁も対応に追われている現状である。
金融庁は金商法施行を目前に控えて金融機関からの具体例についての法解釈の問合わせが殺到しているとのことである。
法施行後にトラブルが発生するのを極力少なくし混乱を招かないためにも、投資家保護に十分な備えをし、金融機関が円滑に金商法に対応できるように関係者の努力を望む次第です。



















