
日本版政府系ファンド
2008/02/24
日本版政府系ファンド創設の是非を検討する議論が自民党内で「SWF検討プロジェクトチーム」を立ち上げて本格的に始まった。ファンドの創設機運が高まったのは、積極運用で国富の増大を狙う産油国や新興国が目立ち始めたからだ。
ファンドの原資になると想定されるのは外貨準備金で、日本の外貨準備は、2008年1月末で残高が
9960億ドル(百兆円超)である。外貨準備高を所管する財務省は一貫して慎重姿勢とのことであるが、これは運用で損失を出せば、国民負担に直結しかねない懸念からのとのことである。
世界の金融市場で影響を高めるSWFのうち資産残高が1000億ドル(約10兆7000億円)を超す大潟ファンドが10あることが米議会で報告されている。上位39ファンドのうち過半数の22は石油を資金源にしている。
そもそも政府系ファンドとは何か。政府による投資を外貨準備を含む国際準備、公的年金基金、国有企業、政府系ファンドのの4つに区別されるとのこと。
政府系ファンドの場合、投資家から広く出資を募る性格ではないため、情報開示が進んでおらず、国が政治的意図を持って利用するのではないかという疑念が払拭されてはいない。ただ、これまで政府系ファンドが国際金融市場で大きな問題を引き起こしたこはなく、「長期運用で安心感を持たれている」とのことである。今後は政府系ファンドは情報を積極的に開示するとともに、政治的思惑ではなく経済利益を年頭にとうしする必要があり、一方受け入れ側の国は保護主義を排するといった指針が必要となろう。
日本も世界の波に乗り遅れないためにも他国の政府系ファンドを遠巻きに眺める姿勢ではなく海外の政府系ファンドと積極的に連携して海外進出できる態勢を整え、世界の資本市場に貢献することを前向きに検討すべき段階であろうと思う。

地銀、再編加速へ
2008/02/23
大阪を営業基盤とする池田銀行と泉州銀行が経営統合で大筋合意したことで、地銀の再編が加速する兆しが出てきた。これまで経営が比較的安定している大都市圏にある地銀も昨秋の郵政民営化などに触発され合従連合へと動きだしてきそうである。
今回の再編のきっかけの大きなものとして、昨年10月の郵政民営化で地銀にとって巨大な敵が出現し、リテール分野での競争が激しくなったことがある。昨年9月末の金商法施行で、元本保証がない金融商品の営業姿勢が問われるようになり、販売体制拡充を迫られた。経営が安定していても規模が小さければ不利という状況が出現したのである。
また、一方で国内外の投資ファンドが2007年末時点で横浜等の11の地銀の株式を5%超保有して経営効率向上を求める動きをし始めている。「リストラの余地が大きく収益向上が見込める」こととか、「経営不振の地銀は再編などで経営を立て直せる余地がある」という。
いずれにしても地銀の再編加速は必至の情勢である。

モノラインの保証能力
2008/02/22
ムーディーズはモノラインの格下げが一段と進めば世界の主要機関は総額70〜100億ドルの引当金を追加計上しなければならなくなるとの試算を公表した。最悪の場合、引当金が200〜300億ドルに膨らむ可能性があるという。
銀行や証券会社はモノラインと契約を結び、保有する有価証券のデフォルトリスクを回避している。ただ格下げでモノラインの保証能力が低下した場合、デフォルトの一部を負担しなければならなくなる。
ムーディーズは、値下がりによって評価損が発生しやすいCDOに絞って引当金の計上額を試算した。
CDOの想定元本は約1200億ドル。引当金の計上を迫られるのは約20社としたが、個別の金融機関名は明らかにしていない。
これら問題の解決には、まだまだ時間がかかりそうな気配を感じさせる公表試算である。

金融商品時価開示、開始を1年延長へ
2008/02/21
企業会計基準委員会は2009年4〜6月期から適用する予定だった金融商品の時価開示を拡充するルールの適用開始時期を1年程度延長して2010年3月期からに変更する方針を固めた模様である。
従来は一部の有価証券やデリバティブ取引などが対象だったが、新ルールでは、CDOなどの証券化商品、売掛金などの債権、借入金などの負債についても企業が時価を算定、財務諸表の注記として表示を求められることとなっている。
金利や為替の変動で金融機関などが保有する金融商品の損失リスクがどの程度たかまるかを計算して開示することも義務付けられる。銀行や証券会社、ノンバンクなどが対象となる見通し。
米国のサブプライムローン問題を発端とする証券化商品の価格暴落で損失を被る金融機関の続発で金融商品の時価開示へのニーズは高まっているが、日本でのルール適用が遅れることで投資家保護の側面を考えるともっとスピーディな対応が求められるのではなかろうか。

証券優遇税制と金融一体課税
2008/02/17
昨年12月19日でも当ブログでこの問題をとりあげている。
政府税制調査会では、株式・投資信託の譲渡益にかかる税率10%の優遇税制を2008年12月末に、配当課税も2009年3月末にいずれも本則の20%に戻す方針のようである。しかし金融庁や自民党財務金融部会などは優遇税制の継続・恒久化を要望している。
一方で、金融所得にかかる税率や課税方法を揃えるという金融課税一体化に向けた議論も進んでいる。
証券界には米サブプライムローン問題による株価下落から証券優遇税制継続への配慮を求める声も強いが、金融所得一体課税は投資家のリスクテーク能力を高める(=投資リスク軽減)ものでもはや世界的な流れである。東京市場が世界の流れから取り残されるのではとの懸念が最近いろいろととりざたされており、外国人投資家が東証での売り越しが目立ったきているように実際に数字の面でも表面化してきている昨今、この金融一体課税化に向けた議論をもっとスピーディに進めて欲しいものである。

格付け手法見直しへ
2008/02/10
米格付大手2社のムーディーズとS&Pは、先週相次いで、新しい格付基準や外部の第三者機関による評価を導入するなどの格付手法の見直しをするべく検討中とのことを発表した。サブプライムローン関連証券化商品でAAAであったにも関わらずデフォルトが懸念される例が相次ぎ、格付けの信頼性が揺らいでいることに対応するものである。
S&Pの見直し策によると、企業統治、分析力、情報の透明性、投資家教育の4分野が柱になっている。ムーディーズは証券化商品を対象に格付けを細分化して、通常の債券とはリスク特性が異なるため格付け表記を別にするという。
サブプライムローンはそもそもデフォルトの確率が高いはずであるが、サブプライムローン証券化商品の一部が米国債などと同様にAAA格を得ていたため、格付会社への批判が強まり、また信頼が損なわれてきており、また、格付会社への規制論も浮上してきたことから格付手法を早急に見直す対応策を
検討しているものである。
いずれにしても、格付けの信頼性の回復が待たれる。

国富、9年ぶり増加
2008/02/09
内閣府が8日発表した2006年度の国民経済計算(確報)によると、土地や建物などの資産から負債を差し引いた国の正味資産(国富)は2006年末時点で2716兆6000億円と前年末に比べて2.9%増えた。増加は9年ぶり。地価の上昇を受けて土地の資産額が1990年以来、16年ぶりに増え、バブル経済後の資産デフレの底入れを反映した形だ。
国民経済資産は国の経済活動を体系的に示す統計で、今回の確報は企業の決算書にあたる。
2006年末の国富の内訳を見ると土地資産が1228兆円で、前年末比で0.5%増加した。
1990年に2452兆円と過去最大になってから地価の下落とともに15年連続で減少が続いていたがわずかに増加に転じたことで、土地の価値が目減りする資産デフレはひとまず終わった。
金融資産のうち株式資産は725兆円、株値上がりに伴う価値の上昇で4年連続で増えた。
ただ、増加額は1000億円にとどまり、国富の伸びに対する貢献度は小さかった。
国富のピークはバブル期にあたる1990年の3533兆円。土地資産額の前年比伸び率が1986年に25.1%に達した後、1989年まで2ケタの伸びが続き、国富膨らんだ。
1991年に土地の資産額が下落したのとともに国富も減少に転じ、1996年と19997年を除くと減少が続いていた。
2007年は米国のサブプライム問題を発端に株式相場が下落し、金融資産が目減りしている公算が大
きい。
国富の増加傾向が定着するかどうかは2月9日の「G7」等の今後の各国の金融当局の協調姿勢等の
今後次第とも言える。

サブプライム危機はまだ序の口か
2008/02/05
サブプライム問題がいっこうに収束の気配をみせない。というのも外資大手金融機関についてはSWFを中心とする資金供給によって資本増強を行い、落ち着きを見せたが、既に次への不安から金融市場の乱高下が続いている。
まず、サブプライムローン損失による米国大手金融機関以外の金融機関の破綻リスクである。
これまで損失を発表した金融機関は外部から資金を調達し、損失をカバーできる大手金融機関が中心であり、逆に言えば発表しても大丈夫な金融機関ばかりなのである。
かつての日本の金融危機がそうであったように、発表したら最後、誰からも救済はなく、倒産するのみであるので、損失を「飛ばし」ているヘッジファンド、欧州を中心とする中規模の金融機関が実はまだ相当数隠れているのではないかという疑惑である。彼らが購入している一見高格付けの債券も、その実、モノラインの保証に依存したものであり、そのモノラインが経営危機に陥ってしまえばドミノ倒し的に損失が広がる。そして、そこで破綻する金融機関がSWFからの救済というウルトラCの対象になる可能性は皆無である。ツケは後に払うものほど高くつくのである。
さらに、サブプライム危機が他の高リスク投資へ飛び火しつつある。サブプライムローン市場の実態を見て高リスク投資一般に投資家は恐怖を感じ始めている。住宅市場だけではなく商業不動産へのリスクへの不安が広がりつつある。不動産市場だけでなくM&A市場にも懸念が広がっている。買収ファンドのLBO向けの低格付け社債は、いったん大手投資銀行が引き受けた後、機関投資家にバラして販売してリスクを分散するスキームがとれている。しかしながら、サブプライムローンに恐れをなした機関投資家がこうした債券への投資を手控えており、投資銀行が不良在庫として抱えつつある債券が実に2000億ドルに上がるとの資産もある。
金融市場を通じて、ここまで信用不安、経済の先行き不透明感が高まってくると、実体経済への影響は避けられない。デカップリング論が強いインド株の暴落、あるいは、これまで実体経済についての影響を楽観視していたFRBも景気の減速を強く気にし始め、0.75%及び、0.5%と連続して緊急利下げをする事態に直面している。これら利下げは行き場を失ったマネーが商品市場に流入という昨年の流れの復活の懸念にもなる。
こういう環境のもとでは、世界経済、特にアメリカ経済への依存度が高く原料高で国内消費も苦しい日本企業の先行きにも不透明感が強く株価は13000円台を一時期割ることとなった。構造改革の遅れ、政治の機能停止、日銀総裁選びへの懸念等々で足の速い資金は日本を見捨てつつもある。
いろいろと見てみると「サブプライム危機はまだ序の口か?」という強い懸念を持たざるを得ない。

サブプライム問題、実体経済に本格波及
2008/02/01
今までの当ブログで当初から懸念していたとおりにサブプライム問題がいよいよ実体経済に本格的に波及してきはじめている。
米国の2007年10〜12月期の実質GDPの伸び率は前期比年率0.6%と3・四半期ぶりの低水準にとどまり、2002年10〜12月期の0.2%に次ぐ低成長となった。
サブプライム問題が実体経済に本格波及し、個人守秘、設備投資、輸出の鈍化も鮮明になった。
住宅投資が26年ぶりの減少率となり、ガソリン高などで個人消費が年末商戦等も含めて低調に推移している。住宅価格の下落、株安等が消費の勢いを鈍らせている。2008年1月は、1969年の調査開始以来最も悪い数字とのこと。1〜3月はマイナス成長との予測も出てきている状況である。
FRBは、1月下旬に二度にわたって計1.25%の利下げをして金融緩和しているが早くも追加利下げ観測が出てくるなど更に金融緩和を続けざるを得ないような状況である。
米経済は財政・金融緩和政策で2001年以来の景気後退を回避できるかどうかの正念場を迎えそうである。これら状況が世界経済に今後どのような悪い影響として波及するのかが懸念されるが、各国の政府及び中央銀行間の強調した対応が望まれる段階にきていると思う。

自己資金投資先の上場で引受主幹事
2008/01/27
金融庁が2007年末に示した金融・資本市場競争力強化プランの中で規制緩和の一環で銀行・証券・保険会社間のファイアウオール規制見直しが盛り込まれ、証券会社が自己資金で投資した企業が新規上場する際、現在は原則廃止されている引受主幹事に就任する道が開けそうである。
日証協で引受に関する議論が進んでいるが、IPO価格決定などで「お手盛り」疑惑を招かぬような慎重な議論を求めたい。投資家の信頼を高めるため、業界全体で新規公開時の引受審査基準統一や審査強化体制強化に取り組んできているので、今回もなれあいの議論にならないように見守りたい。



















