金融業界Blog

金融業界Blog 金融に関する情報を発信する社長ブログ 東京キャリア・サーチ代表取締役社長 藤原道雄

証券優遇税制と金融一体課税

2008/02/17

昨年12月19日でも当ブログでこの問題をとりあげている。

政府税制調査会では、株式・投資信託の譲渡益にかかる税率10%の優遇税制を2008年12月末に、配当課税も2009年3月末にいずれも本則の20%に戻す方針のようである。しかし金融庁や自民党財務金融部会などは優遇税制の継続・恒久化を要望している。
一方で、金融所得にかかる税率や課税方法を揃えるという金融課税一体化に向けた議論も進んでいる。

証券界には米サブプライムローン問題による株価下落から証券優遇税制継続への配慮を求める声も強いが、金融所得一体課税は投資家のリスクテーク能力を高める(=投資リスク軽減)ものでもはや世界的な流れである。東京市場が世界の流れから取り残されるのではとの懸念が最近いろいろととりざたされており、外国人投資家が東証での売り越しが目立ったきているように実際に数字の面でも表面化してきている昨今、この金融一体課税化に向けた議論をもっとスピーディに進めて欲しいものである。

格付け手法見直しへ

2008/02/10

米格付大手2社のムーディーズとS&Pは、先週相次いで、新しい格付基準や外部の第三者機関による評価を導入するなどの格付手法の見直しをするべく検討中とのことを発表した。サブプライムローン関連証券化商品でAAAであったにも関わらずデフォルトが懸念される例が相次ぎ、格付けの信頼性が揺らいでいることに対応するものである。

S&Pの見直し策によると、企業統治、分析力、情報の透明性、投資家教育の4分野が柱になっている。ムーディーズは証券化商品を対象に格付けを細分化して、通常の債券とはリスク特性が異なるため格付け表記を別にするという。

サブプライムローンはそもそもデフォルトの確率が高いはずであるが、サブプライムローン証券化商品の一部が米国債などと同様にAAA格を得ていたため、格付会社への批判が強まり、また信頼が損なわれてきており、また、格付会社への規制論も浮上してきたことから格付手法を早急に見直す対応策を
検討しているものである。

いずれにしても、格付けの信頼性の回復が待たれる。

国富、9年ぶり増加

2008/02/09

内閣府が8日発表した2006年度の国民経済計算(確報)によると、土地や建物などの資産から負債を差し引いた国の正味資産(国富)は2006年末時点で2716兆6000億円と前年末に比べて2.9%増えた。増加は9年ぶり。地価の上昇を受けて土地の資産額が1990年以来、16年ぶりに増え、バブル経済後の資産デフレの底入れを反映した形だ。

国民経済資産は国の経済活動を体系的に示す統計で、今回の確報は企業の決算書にあたる。

2006年末の国富の内訳を見ると土地資産が1228兆円で、前年末比で0.5%増加した。
1990年に2452兆円と過去最大になってから地価の下落とともに15年連続で減少が続いていたがわずかに増加に転じたことで、土地の価値が目減りする資産デフレはひとまず終わった。

金融資産のうち株式資産は725兆円、株値上がりに伴う価値の上昇で4年連続で増えた。
ただ、増加額は1000億円にとどまり、国富の伸びに対する貢献度は小さかった。
国富のピークはバブル期にあたる1990年の3533兆円。土地資産額の前年比伸び率が1986年に25.1%に達した後、1989年まで2ケタの伸びが続き、国富膨らんだ。
1991年に土地の資産額が下落したのとともに国富も減少に転じ、1996年と19997年を除くと減少が続いていた。

2007年は米国のサブプライム問題を発端に株式相場が下落し、金融資産が目減りしている公算が大
きい。

国富の増加傾向が定着するかどうかは2月9日の「G7」等の今後の各国の金融当局の協調姿勢等の
今後次第とも言える。

サブプライム危機はまだ序の口か

2008/02/05

サブプライム問題がいっこうに収束の気配をみせない。というのも外資大手金融機関についてはSWFを中心とする資金供給によって資本増強を行い、落ち着きを見せたが、既に次への不安から金融市場の乱高下が続いている。

まず、サブプライムローン損失による米国大手金融機関以外の金融機関の破綻リスクである。
これまで損失を発表した金融機関は外部から資金を調達し、損失をカバーできる大手金融機関が中心であり、逆に言えば発表しても大丈夫な金融機関ばかりなのである。
かつての日本の金融危機がそうであったように、発表したら最後、誰からも救済はなく、倒産するのみであるので、損失を「飛ばし」ているヘッジファンド、欧州を中心とする中規模の金融機関が実はまだ相当数隠れているのではないかという疑惑である。彼らが購入している一見高格付けの債券も、その実、モノラインの保証に依存したものであり、そのモノラインが経営危機に陥ってしまえばドミノ倒し的に損失が広がる。そして、そこで破綻する金融機関がSWFからの救済というウルトラCの対象になる可能性は皆無である。ツケは後に払うものほど高くつくのである。

さらに、サブプライム危機が他の高リスク投資へ飛び火しつつある。サブプライムローン市場の実態を見て高リスク投資一般に投資家は恐怖を感じ始めている。住宅市場だけではなく商業不動産へのリスクへの不安が広がりつつある。不動産市場だけでなくM&A市場にも懸念が広がっている。買収ファンドのLBO向けの低格付け社債は、いったん大手投資銀行が引き受けた後、機関投資家にバラして販売してリスクを分散するスキームがとれている。しかしながら、サブプライムローンに恐れをなした機関投資家がこうした債券への投資を手控えており、投資銀行が不良在庫として抱えつつある債券が実に2000億ドルに上がるとの資産もある。

金融市場を通じて、ここまで信用不安、経済の先行き不透明感が高まってくると、実体経済への影響は避けられない。デカップリング論が強いインド株の暴落、あるいは、これまで実体経済についての影響を楽観視していたFRBも景気の減速を強く気にし始め、0.75%及び、0.5%と連続して緊急利下げをする事態に直面している。これら利下げは行き場を失ったマネーが商品市場に流入という昨年の流れの復活の懸念にもなる。

こういう環境のもとでは、世界経済、特にアメリカ経済への依存度が高く原料高で国内消費も苦しい日本企業の先行きにも不透明感が強く株価は13000円台を一時期割ることとなった。構造改革の遅れ、政治の機能停止、日銀総裁選びへの懸念等々で足の速い資金は日本を見捨てつつもある。

いろいろと見てみると「サブプライム危機はまだ序の口か?」という強い懸念を持たざるを得ない。


サブプライム問題、実体経済に本格波及

2008/02/01

今までの当ブログで当初から懸念していたとおりにサブプライム問題がいよいよ実体経済に本格的に波及してきはじめている。

米国の2007年10〜12月期の実質GDPの伸び率は前期比年率0.6%と3・四半期ぶりの低水準にとどまり、2002年10〜12月期の0.2%に次ぐ低成長となった。
サブプライム問題が実体経済に本格波及し、個人守秘、設備投資、輸出の鈍化も鮮明になった。
住宅投資が26年ぶりの減少率となり、ガソリン高などで個人消費が年末商戦等も含めて低調に推移している。住宅価格の下落、株安等が消費の勢いを鈍らせている。2008年1月は、1969年の調査開始以来最も悪い数字とのこと。1〜3月はマイナス成長との予測も出てきている状況である。

FRBは、1月下旬に二度にわたって計1.25%の利下げをして金融緩和しているが早くも追加利下げ観測が出てくるなど更に金融緩和を続けざるを得ないような状況である。

米経済は財政・金融緩和政策で2001年以来の景気後退を回避できるかどうかの正念場を迎えそうである。これら状況が世界経済に今後どのような悪い影響として波及するのかが懸念されるが、各国の政府及び中央銀行間の強調した対応が望まれる段階にきていると思う。

自己資金投資先の上場で引受主幹事

2008/01/27

金融庁が2007年末に示した金融・資本市場競争力強化プランの中で規制緩和の一環で銀行・証券・保険会社間のファイアウオール規制見直しが盛り込まれ、証券会社が自己資金で投資した企業が新規上場する際、現在は原則廃止されている引受主幹事に就任する道が開けそうである。

日証協で引受に関する議論が進んでいるが、IPO価格決定などで「お手盛り」疑惑を招かぬような慎重な議論を求めたい。投資家の信頼を高めるため、業界全体で新規公開時の引受審査基準統一や審査強化体制強化に取り組んできているので、今回もなれあいの議論にならないように見守りたい。

ファンド融資拡大へ(’08年)

2008/01/22

国内外の金融機関が日本で買収ファンド向けの融資を拡大させる動きでありそうだ。
日本経済新聞者が実施した調査によると、2008年の計画を示した大手銀行や外国証券など14社は合計で2兆円超の買収融資を用意、’07年実績の3倍に増やすとのこと。
欧米ではサブプライム問題の影響で金融機関が融資を手控えており、大型のM&Aは事実上ストップ状況で、影響が軽微な日本のマーケットで攻勢を掛ける見込みのようである。

欧米では昨年8月以降、サブプライム問題の余波で金融機関が融資に慎重になり、M&Aの件数や金額が急減した。融資を実行した後、債権を別の投資家へ転売するのを前提にしているが、この価格も下落しており、損失も膨らんでいる。一方、日本では巨額の損失を計上した欧米の一部金融機関を除き、積極的な融資姿勢を維持している。

’07年に日本企業が関連したM&Aの総額約12兆円のうち、ファンドがかかわったのは1割程度。
今後、大企業による非中核事業の売却などファンドがからむ案件も増えるとみられ、買収融資の拡大はこうした動きを後押ししそうである。ある外資証券によると、世界的な大手買収ファンドは欧米市場で融資がつかないため、日本やアジア市場に目を向け始めているとのことである。

日本のマーケットがこのような分野で活況を呈するという動きには大きく期待したと思う。

シンジケートローン5年ぶり減(2007年)

2008/01/21

’07年のシンジケートローンの組成額は’06年に比べて5%減の2056億ドル(約22兆円)と5年ぶりに減少した。
これは@前年に相次いだ大型M&Aが減ったこととAサブプライム問題で長期金利が低下したことにより社債発行による資金調達をした企業が増えたこと等による。

’07年の最高額は5月の米シティグループによる日興コーディアルグループの買収案件で、みずほコーポレート銀行、三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行などが約1兆4000億円を融資した。
’06年にはソフトバンクのレバレッジドファイナンスによるボーダフォン日本法人の買収案件などの大型案件があった。’07年はこうしたM&A資金のニーズが減少した。

トムソンフィナンシャルによれば、主幹事シェアとしては金額ベースでは、みずほフィナンシャルグループの約6兆6300億円が全体の30.5%とトップで、件数ベースでは、711件の三菱UFJフィナンシャルグループがトップであった。

投信、資金流入大幅減少(’07年下半期)

2008/01/20

投資信託への資金流入の減速が鮮明になってきた。
投資信託協会が発表した2007年の投信概況によると株式投信の’07年下半期(7月〜12月)の新規資金流入額は4兆2000億円と上半期の10兆4000億円から6割減少した。
流入額kは続いているため年末ベースでの純資産残高は過去最高を更新したが相場低迷が続けば投信市場の拡大にブレーキがかかる懸念もある。

昨年下半期の資金流入額は前年同期比では24%減で’05年下半期以来の低水準であった。
サブプライム問題から国際的な株価下落や円高等で夏以降の環境が急激に悪化したのが主な要因だが国内的には9月に施行された金融商品取引法の影響で銀行窓販の鈍化が目立った。
一方、海外株投信は高成長が続く新興国投信がけん引役になったことから過去最高を記録した。
債券関連投信はほぼ横這いであった。

いずれにしても、今年の株式市場次第で今年の投信市場の行方が決まると思えるが、今年は厳しそうな状況と言わざるをえない。

'07年倒産件数4年ぶり高水準

2008/01/19

民間調査会社の東京商工リサーチが発表した全国企業倒産状況によれば件数は前年比6.4%増の14091件で4年ぶりの高水準であった。負債総額も同4.1%増の5兆7200億円超と7年ぶりに前年を上回った。
法改正などに伴い建設業者の倒産が増えたうえ、原材料高が中小企業の経営を圧迫した。

件数は全10業種のうち不動産を除く9業種で前年より増えた。最も多かったのは建設業の4018件。
公共工事削減に加え建築確認を厳しくした改正建築基準法の施行に伴う受注減が響いた。
原油や素材価格の高騰で製造業(2022件)の倒産ん件数は6年ぶりに増えた。’01年以降、減少してきた負債総額も増加に転じた。

商工リサーチは「中小零細企業を中心に倒産は今後も緩やかに増える」とみている。
商工リサーチの集計は銀行取引停止処分などの私的整理を含めたものであるが、法的整理だけを集計している帝国データバンクが同日発表した’07年の倒産件数も前年比、17.2%増の1959件、負債総額は同4.2%増の5兆5000億円ほどであった。

今後の日本経済の行方を懸念する数字である。

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