
保険商品銀行窓販スタート
2007/12/23
銀行窓口での保険商品販売が22日全面解禁された。
1998年に「日本版ビッグバン」の一環で投資信託の銀行窓販が解禁されて以降、個人年金保険や証券仲介など銀行の取扱商品は拡大してきた。保険窓販はその締めくくりだ。
全面解禁により、死亡保険や医療保険などを銀行が販売できるようになるが、顧客に丁寧に説明するため、販売経験者を集め、取扱商品も限定する。保険商品は多額の不払い・支払漏れが問題になったこともあり、大手行は当面慎重に販売する。
背景にあるのは利用者保護強化の流れだ。9月末に金融商品取引法が施行され当局の販売ルールも厳格化されたことにもある。
とはいえ、銀行側にはには将来への拡販への期待は大きい。
5年後には保険販売の4〜5割は銀行が担うようになるのでと予想もされている。
投信に続き銀行の主力商品になるのは間違いなかろうと思う。

日銀の金融政策
2007/12/22
日銀は20日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めた。
7−9月の法人企業統計で経常利益は5年ぶりに減益になり、景気の先行き不安は根強く、実際には利下げが選択肢に入る局面にあると思える。
前回、金融を緩和した03年10月、04年1月当時は量的緩和政策をとっていた。
緩和政策の前提となったGDPの前期伸び率は今より高い経済成長率を示していたし、CPIは、足元は前回緩和時と大きな違いはない。
もう一つの重要指数の失業率は当時の5%に対して今はほぼ4%を示しており一見良さそうであるが、
住宅投資の大幅減少はいずれ雇用により鮮明に響いてくるだろう。すでに失業率は若干だが上がる気配を見せている。なによりも雇用は遅行指数でありその上昇を待って金融政策のスタンスを変えたのでは手遅れになる公算が大きい。
景気は地方や中小企業から陰りが色濃くなってきている。来年度予算の一般歳出の規模は社会保障費の増大を受けやや膨らむが、公共事業関係費などはマイナスが続く。
いまこそ、日銀の金融政策の出番の時ではと期待したい。

政府系ファンドと世界金融市場勢力図
2007/12/20
中東、アジアの政府系ファンドを中心に300兆円に達する国家マネーが世界を動かし始めた。
サブプライムローン問題で損失を抱えた欧米金融機関を救済するなど、欧米の買収ファンドに代わる金融資本の担い手に浮上してきている。
シティグループがサブプライム問題で多額の損失を抱えUAE(アラブ首長国連邦)のアブダビ投資庁から約75億ドル(約8500億円)の出資を受け、中国政府の投資ファンド、中国投資有限責任公司からモルガンスタンレーが約50億ドル(約5500億円)、また、UBSがシンガポール政府投資公社(GIC)から110億スイスフラン(約1兆800億円)の出資受け入れと続いている。
政府系ファンドは数年後に10兆ドル規模に増えると予想されている。
これら国家マネーはサブプライム問題で揺れる世界の金融市場の勢力図を変えるかもしれない。
その時を想定して日本の金融機関はどのような経営戦略に出るであろうか。

金融一体課税へ
2007/12/19
与党の2008年度税制改正大綱がまとまり、焦点だった証券税制は、09年に株式譲渡損益と配当所得を差し引きする「損益通算」を導入することが決まった。
株式投資で損失を出しても配当の税額を圧縮してリスクを軽減できる。
政府は貯蓄に偏る家計資産を証券投資へと促す効果があるとみているようだ。
預金金利利子を含む「金融一体課税」へと一歩前進したが、今後は損益通算の範囲をどこまで拡大するかが検討課題となる。預貯金利子や債券なども一体課税できれば、投資リスクはさらに軽減することができる。ただ、損益通算の範囲が広がれば、投資家の所得を正確に把握する「納税者番号制度」の導入が必要になりそうで、実現への課題は多い。
今後のさらなる議論を待ちたい。

サブプライムローン問題(その6)
2007/12/15
最近、日銀の武藤副総裁がインタビューで日銀が直面している環境を「事態は非常に複雑で、そう単純ではない。なかなか困難な状況にある」と表現した。まさにその通りだ。サブプライム問題による米国金融市場の動揺は全世界に及ぶ。日本経済には関係ないことという、ひところの楽観はもはや消え、大波が押し寄せる不安が高まっている。
米国における第二次世界大戦後の10回の景気後退のうち8回においては住宅投資の減退が先行しているとのこと。今回のサブプライム問題により、現在も住宅投資の減退傾向が顕著である。住宅投資の減少そのものもさることながら、住宅価格が上昇から下降に転じたことも米国景気の下降要因となる。これまでと正反対の力が働くこととなる。
2001年以降の金融緩和による金利低下、住宅価格上昇、消費の盛り上がりという好循環が、今回逆に悪循環となり、消費動向の先行きの見通しも悪化してきている。
米国金融機関の財務状況の悪化が深刻になる懸念が強い。すなわち、1992年以降の日本の銀行が地価バブル崩壊後、巨額の不良債権を抱えたのと同様な状況が生じる恐れが強まってきている。
米国の金融機関の財務状況への強い懸念があり、今後の再編等が起きてくると思える。
日本の経済は’01年以降の米国の金融緩和による米国内消費の盛り上がりで輸出を梃に景気回復を遂げ、戦後最長の景気拡大期間を享受してきたが、2008年はどうなるかが極めて懸念される。
政策当局による適切な対応に期待するところ大である。

証券取引所での排出権取引解禁へ
2007/12/12
証券取引所の機能強化策などを議論してきた金融審議会(首相の諮問機関)の報告書案がまとまり、欧米で急拡大している排出権取引市場の開設を国内の証券取引所にも認めるよう提言し、金融庁は2008年にも実現の方向で調整に入る見通しとなった。
温暖化ガズの排出権は日本では金融商品としての規程がないため、証券取引所では売買されておらず、商社などが独自に手がけているが、英国やドイツの取引所では先物商品の一種として取引され、2006年の世界の排出権市場は前年比2.8倍の約3兆3千億円に拡大してきている。
金融審の報告書は証券取引所にも排出権市場を開設できる枠組みを打ち出したので、報告書の方法によれば、法改正の必要なく、取引所での排出権取引は早ければ、2008年にも実現する見通しとなる。これにより、一つの取引所で株式から排出権までを扱う欧米の「総合取引所」に追随する基盤がようやく整うことになる。
世界温暖化対策上も好ましいものと期待される。

社債発行額とIPO件数
2007/12/09
今年2007年の国内での普通社債発行額が9兆円を超え1998年以来の9年ぶりの高水準になる見通しだ。1998年といえば国内の景気が最悪の年であった。
今年の前半は長期金利が1.9%台に上昇し金利の先高感の中でのいわば駆け込み発行が多かったが、サブプライム問題の年後半は一時、1.3%台まで長期金利が低下し社債発行の調達コストが低下したことによる要因が大きい。
一方、IPOの企業数は121社の見通しである。
前年を下回るのは2年ぶりで、マザーズ、ジャスダック、ヘラクレス等の新興株式市場が整備された2000年以降では2003年実績と並んで最低水準となる。新興企業の不祥事を背景に取引先の審査や会計監査が厳しくなったことに加えて新興株相場の低迷も大きな要因である。
これらの今年の実績が来年の経済、相場環境の行方を暗示しているような気がするが杞憂であれば良いと思う。

「行政不況」への懸念
2007/12/04
「特定商取引法」「改正貸金業法」「金融商品取引法」「改正独占禁止法」「改正建築基準法」と、このところの法改正にはすさまじいものがある。来年1月には「割賦販売法」「特定商取引法」の改正案の国会提出も予定されている。「こうした矢継ぎ早の法改正は経済成長にとって大きな足かせ要因で、まさに行政不況の様相を呈している」(大手証券アナリスト)。サブプライム問題、円高、原油高等日本経済を取り巻く環境が厳しさを増す中、「このままでは景気は真っ逆さま」(大手シンクタンク)との悲観論も浮上している。
前年9月比の新設住宅着工戸数は44%減とこの37年間で最悪の数値を示した。
特定商取引法を契機とした英会話学校やエステチックサロン、貴金属、呉服などのユーザーに対する信販・クレジットの絞込みは想像以上のものがあり、関連業者は瀬戸際に立たされている。
9月末に施行された金融商品取引法ではファンド規制による不動産業界へのダメージが気にかかる。
消費者金融業界のみならず信販、クレジットカードという個人向けローン市場に壊滅的な大淘汰を迫っている改正貸金業法。
もちろん、こうした法改正は消費者保護や透明性の確保、業界の新たな枠組みの構築、そして反社会的勢力の排除のためには当然の流れである。
とはいえ、法改正に伴う明確なセーフティネットや新たな需要創造策が提示されないまま、荒治療が断行されれば結局は個人、中小零細企業、地方にしわ寄せが及ぶことになる。
しかも、法改正は、なんと反社会的勢力の増殖という本末転倒の事態まで招いてきている。
いずれにしても、消費者保護、反社会的勢力の排除を錦の御旗とした一連の法改正によって、霞ヶ関が産業界の生殺与奪を握ったことは確かである。「裁量行政」から「ルール行政」へ転換すれば、監督不行き届きを責められる危険性は減じる。金融庁、経済産業省には「新たな利権(天下り等)」の確立という隠れた至上命題もちらつく。「法改正」はその有効な仕掛けとなる。
いずれにしても、このような状況が放置されるならば、来年、日本経済は予測も出来ないような暗い闇に突入する強い懸念がある。

証券・商品両取引所の経営統合
2007/12/02
11月30日の経済財政諮問会議で金融・資本市場ワーキンググループの会合を開き証券取引所と商品取引所の経営統合、資本提携を可能にし、上場商品の相互乗り入れを認める方向で大筋一致した。
欧米に比べて遅れている取引所の総合化が日本でも動き出す。
金商法の改正方針も確認したとのことである。
金融庁、経産省、農水省の考え方も一致したとのことである。
2009年実施を目途に関連法の整備をするとのことである。
欧米では証券、商品の垣根を超えた取引所再編がすすんでいる。日本も再編が始まれば取引所の競争強化につながる。
世界のマネーは商品も証券も同じ資産運用対象として投資している。取引所の総合化が進めば、こうしたマネーを日本にも呼び込め日本の投資家の利便性も高まる。
大いに期待したいところである。

円高と企業業績と株式市場
2007/11/30
円高が企業業績に響くのは事実で、急激に進めば劇薬にもなりえる。
ただ、今の水準が致命的かどうかをおいろいろな観点から検証するべきことが必要である。
ゴールドマン・サックス証券の試算では、10%の円高が進んでも企業の増益率の押し下げ幅は2%台半ば。今期、上場企業の経常増益率は前期比6%を確保し、5期連続最高益を目指す構図は変わらない。
円安による中小企業の輸入、特に原油の輸入価格の上昇は、賃金を抑えて消費の足を引っ張るため日本経済の弱点と見られてきた。この逆風が和らぐ効果も見逃せない。
JPモルガンのストラテジストの北野氏は株式市場は円高に過剰反応していると考えている。
同氏は1970年代以降の円と株の相関関係を分析したが、現在は円高が株安に直結する度合いが極端に高まっている。歴史的には過去7回の主な円高局面後の1年間で株式相場は逆に平均11%上昇している。
むしろ、円高を逆手にとって、企業の改革に活かしていけば、業績と株高への本質的な効果を生んでいけるということを留意すべきであろうし、その点で株式アナリストから経営者への直言・アドバイスへ期待するものが大である。



















