金融業界Blog

「バレル100ドル」は高いか

2008/01/09

ニューヨーク原油先物市場のWTI原油が1月3日にバレル100ドルをつけた。

全てのマスコミは、原油価格の高騰はガソリン価格や灯油価格を上昇させ、世界経済や日本経済に大きな打撃を与えると大騒ぎをする。
しかし、原油価格もガソリン価格は欧米諸国の消費者物価水準上昇の歩調にやっと追いついてきているのに過ぎない。原油価格は1980年の第二次オイルショック時に1バレル40ドル台を記録している。
それから27年間、先進国における消費者物価上昇は2.5倍から3倍に達しており、実質価格で見れば原油価格は1バレル100ドルは120ドルになってもおかしくない。
そもそも原油価格はこの20年間、先進国の自動車やハイテク家電などの高付加価値工業製品と比較して不当に低く抑えられてきた。

日本の場合は、1971年のニクソンショック、85年のプラザ合意による円高という特殊要因もあった。
ドル相場は第一次石油ショックの直前の1ドル360円から95年には79円と4.5倍もの円高を記録した。原油取引がドル建てで行われていることから原油価格が一定であるとすると円建てによる支払額は四分の一以下となったのである。また、73年の第一次石油ショック時における日本の総エネルギーに対する石油依存度は77%にも達していたのに対して、現在では49%に過ぎない。こうした国際経済の環境変化、国内事情の急変によって、日本経済には原油価格高騰への大きな抵抗力がついている。マクロ経済の数値上からも、日本は70年代以降の2度にわたる石油ショックを経験して、原子力推進など一所懸命の脱石油政策を進め、実はこの30年間にわたって石油の消費量は経済成長にもかかわらず年間2.5億キロリットル程度のままだである。原油価格上昇の経済へのインパクトは、わずかである。

つまり、この四半世紀の間、先進国の製品と比較して不当に安値に抑えられてきた原油価格が、いまやっと先進国の商品の価格に収斂してきたのである。きわめて低く抑制されていた原油の1バレル100ドルは決して高くはないと。むしろ世界経済にとって当たり前の状況に戻っただけと言えるのではなかろうか。

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