金融業界Blog

日本「国の借金」−危機的な財政に活路はあるか

2008/03/25

各種「国際競争力ランキング」の内訳を詳細に見ていくと、いずれの調査においても、日本の総合順位を落とす主因となっているのが、政府・政策関連の低評価である。
とりわけ懸念すべきは財政赤字である。財務省によれば、07年末現在の国の借金は838兆50億円。これに地方の借金を加えれば、およそ1000兆円になる。

現在S&Pによる日本国債格付けは「AA」。米英など主要国の国債が軒並み「AAA]の中で1ランク下なのはこのためだ。日本国債の外国人保有者はわずか6.6%。日本をはじめ世界の政府に保有されている米国債とは大きく違う。
国の借金の対GDP比は、07年で約177%、米国の62%、英国の49%、ドイツの70%などと比べ突出して高い。しかも国債発行は、なお毎年数十兆円の規模で増え続けている。欧州では、統一通貨ユーロに参加する条件として各国に単年度の財政赤字をGDPの3%以下に抑えることが義務付けられている。ドイツは4年連続この条件を守れず、07年に付加価値税を16%から19%に引き上げるという大ナタを振るうことによって黒字に転換した。ところが、日本の財政赤字の対GDP比は07年度で3.6%あるのだ。このまま借金が増え続ければ、税収の多くがその返済に充てられることになり、そのぶん必要な政策に資金が回らず、国際競争力はますます低下していく。

政府はプライマリー・バランスを2011年までに黒字化するという目標を掲げた。達成に向けて最大14.3兆円の歳出削減を計画しているがそれでもプラスマイナスゼロにするには名目成長率が3.7%まで上昇することが前提だ。
プライマリー・バランスをどの程度プラスにすれば財政は健全化するのか。
財政制度等審議会の試算では、仮に2050年時点での公債発行残高をEU通貨統合の条件である「対GDP比60%」に抑えるとすると前述の歳出削減に加え、07年度GDPで換算すると、約21.4兆円。07年度の国家予算は約83兆円だからおよそ四分の一を削れということだ。
さらに懸念すべきは、今後の名目経済成長率と長期金利の関係である。
もし両者の率が同じであれば、借金の対GDP比は変わらず、増税と歳出削減によって借金を減らしていくしかない。また長期金利が成長率を上回れば、そのぶんだけ借金は膨らんでいくことになり、さらなる増税が必要になる。しかし長期金利が成長率を下回れば、自然の税収増によって借金を縮減できる可能性が生まれる。じつは日本の命運を左右するといっても良いほどこの差は大きい。今後の動向を予測するのは困難だが、少なくとも90年代以降は、ほぼ一貫して長期金利が成長率を上回っている。この傾向のまま推移すれば、増税は避けられそうにない。

竹中平蔵氏は経済学者アルバート・アレシナの研究をひいて<最初に増税した国は必ず失敗しているという明確な法則がある>と警告する。たしかに、大増税によって借金を賄おうとすれば、個人消費の減退→国内需要の低下→景気の低迷→企業収益悪化→税減収という悪循環に陥る恐れがある。既に米欧各国より割高な水準にある法人税率は、これ以上引き上げられない。もし引き上げれば、国内の優良なグローバル企業が本社ごと海外に移転する事態になりかねない。
とすれば、先にやるべきことは政府による経費の徹底した削減である。
国民に税負担を願うのは、大鉈を振るったあとだ。財政再建の手立てはもはやそれしかない。

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