金融業界Blog

公的資金注入で混乱は収束するのか?

2008/10/22

JPモルガン証券のチーフエコノミストの菅野雅彦氏の記事を読み全く同感の思いを持ったので下記のとおりご紹介します。

<記事>

金融危機は欧州に飛び火し、信用不安から金融機関間の取引は世界的に激減、中央銀行相手の取引のみが増えている。各国政府・中央銀行の対応が遅いわけではない。中央銀行は必死に流動性を供給し、政府も公的資金注入を発表したが、市場はあまり反応していない。

何故か?

忘れてならないことが一つある。

日本では、1999年3月行われた強制資本注入の前後に、金融庁が銀行保有の不良債権を厳格に査定し、銀行が不良債権の簿価を大幅に引き下げたという点だ。

銀行の貸借対照表から含み損が一掃されたのである。

一方、米国は今回、銀行が不良債権を抱えたままで公的資金を注入する。

金融機関のトレーダーの場合、大幅な含み損を抱えたままでは、自己のポジションの黒字化は困難だ。一方、強制的に損切りさせると、同じ人間でも意外に早く利益を計上できる。同じことが金融機関や国全体についても当てはまる。日本で、銀行全体の損切りが終了した時点を底に株価が上昇したのは決して偶然ではない。

ただし、日本でも銀行の損切り終了まで10年近くを要した。

損切りは痛みを伴うため当事者には魅力ある解決策に映らない。むしろ損切りは遅れ、問題先送りされる傾向が強い。この点は、現在の米国でも同様だ。しかし、問題を先送りする間に資産価値が全般に下落し、優良資産まで毀損しがちだ。

損切りの遅れは基本的に現状認識の甘さに由来する。前代未聞の危機に対応すると、根拠なき楽観論が支配しがちになるのはよくある現象だ。これは、ある意味では「人間の本性」と言えなくもない。

また日本の場合、金融危機が転換点を迎えた003年春は景気回復が始まって1年後でもある。米国でも、金融混乱の収束に「公的資金注入」「金融機関による不良資産の損切り」「景気回復」の3条件が必要だとすると、解決までの道のりは遠い。

<記事終了>

上述の基本的な現状認識の甘さと根拠無き楽観論というのは、当時のバブル後の日本の金融機関の山一證券、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行、北海道拓殖銀行等々を破綻に追いやった大きな原因の一つでもあった。

また、現在の株式市場の行方を見るのにも、上述の資産査定の部分でも、ニューヨーク・ダウ、及び、日経平均株価の先行きを分析するのに大いに役立つと思う。つまり、NYダウは、まだまだ下値があり、また、連動して日経平均株価も同様と見込めると判断するわけである。

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