株価は米政策対応待ちの展開ー実体経済悪化の底見えず
2008/11/14
金融危機の根深さや世界的な景気減速の深刻化などを背景に、株価が不安定な動きを続けている。13日の東京株式市場では海外勢の売りが強まり、日経平均は一時500円を超す下げ幅となった。株安と企業業績の悪化が同時に進行し、実体経済の悪化の底が見えない展開が続いている。日本株の割安感も薄れつつあるとみられる中で、冷え切った投資家のマインドを転換させるには、思い切った財政出動を中心にした米当局による早期対応が不可欠との見方が多い。
株安のきっかけとなったのは、ポールソン米財務長官による米金融安定化法の運用方針見直し発言だった。同長官は12日の記者会見で、総額7000億ドルの公的資金の活用について、直接投資を通じた金融機関への資本注入に使うことが好ましいとし、当初計画されていた住宅ローン関連の不良資産の買い取りには消極的な姿勢を示した。
市場は金融危機の解消に向けた計画への不透明性が高まったと判断した。「救済の範囲がGMなどの一般事業会社やノンバンクにまで拡大すると、7000億ドルの公的資金では足りないのは明らか」との指摘が出ている。
米金融安定化法の運用方針見直しは、GMの経営悪化にも大きな要因があるとみられている。大統領選挙戦中に労働組合から強い支持を受けたオバマ次期米大統領は、7日の就任後初の会見で自動車業界救済問題を取り上げたのに続き、10日のブッシュ大統領との会談でも持ち出している。「GMは実体悪を象徴する存在だ。数百万人単位の失業者を出すわけには行かない」との指摘もあるが、「財源や公的資金注入の議会通過という問題が残っており、市場はそのあたりを見透かして売っている」という。
米家電小売大手ベスト・バイが利益見通しを引き下げたほか、半導体大手のインテルが第4・四半期の売上高が従来予想を約14%下回るとの見通しを示すなど企業業績の悪化も鮮明になっている。「問題は大手金融機関のクレジットクランチからノンバンクや企業、個人のクレジットクランチに移行している。米個別企業の悪材料が出てくるのはこれからだろう。今年のクリスマス商戦は予想以上に厳しいものになりそうだ」と指摘する声がある。 実体経済がどこまで落ち込むのか読みきれず、市場は不安心理が支配している。「値幅調整は進んだが、実体悪を織り込む時間的な調整が不足している。世界的な景気低迷の出口が見えるまで、株式市場の重苦しい雰囲気は晴れない」(大手証券)とみられている。
国内でも業績予想の下方修正が相次ぎ、日経平均の予想EPS(一株利益)は600円程度まで低下した。現状の予想PER(株価収益率)は13―14倍とすでに割安感が薄れている。米国不況と円高で、トヨタなど輸出企業の業績悪化が著しい。株価の下落に企業業績の落ち込みが追いついてしまった形になる。市場では、「米国が実体経済をこれ以上悪化させないという政治的な意思をみせる必要がある。すでに金融問題の止血は終わっている。これからは治療の段階だ。現在のPERでは持続的な株高は見込みにくいが、米国が中国並みの景気対策を示せば投資家のマインドは回復する」との声もある。
また、「オバマ次期米大統領が一歩引いた姿勢を示していることが懸念される。週末の金融サミットに出席せず、経済閣僚も発表しないなど様子見姿勢を続けていることをマーケットはネガティブにとらえている」とも言われている。「今の株安は景気対策が遅いというシグナルであり、次期大統領が動かないなら、議会側から景気対策を提案するなどの政策が望まれる」とも指摘され始めている。


















